県議活動報告

2023年12月

ユニバーサルツーリズム

坪田

次に、ユニバーサルツーリズムついて質問させていただきます。本県では、年齢や性別、障がいの有無等に関わらず、誰もが安心して旅行を楽しめる観光地づくりを目指して、ユニバーサルツーリズムの取り組みを推進されています。

ユニバーサルツーリズムの主な対象者である高齢者・障がい者・乳幼児等は、国内人口の3分の1以上を占めており、これらの方々に安心して旅行を楽しんでいただける環境を整備することは、旅行需要の喚起や経済の活性化を図る上でも大変重要であり、誰もがいきいきと生活できる「共生社会」の推進にもつながるのではないかと考えます。

私自身、車いす競技に携わっていることもあり、車いすユーザーの友人の話を聞く機会も多く、環境の整備が進めば、さらに多くの方に福岡へ来ていただけるのではないかと感じています。また、ユニバーサルツーリズムの推進には環境の整備だけでなく、受け入れ施設の理解促進や周囲のサポート、適切な情報の発信が欠かせません。その一環として、2020年12月、観光庁において「観光施設における心のバリアフリー認定制度」が創設されました。これは、バリアフリー対応や情報発信に積極的に取り組む姿勢のある宿泊施設や飲食店などを国が認定するもので、施設にインセンティブを付与した有効な取組であり、本県でも、認定施設を増やしていくことが重要と考えます。

バリアフリー情報の発信については、「福岡県ITスタートアップビジネス大賞2023」においても、車椅子やベビーカーの利用者自身が通行しやすいルートを互いに共有する「Divers Map」というアプリが学生部門の大賞を受賞しています。こういったアプリの開発が実用化に向けて進んでいくこともユニバーサルツーリズム推進の一助になるのではいかと期待をしています。

質問1

そこで知事にお尋ねします。新型コロナウイルス感染症が5類へと移行し、県外や海外からも多くの方が福岡県を訪れてくださっています。「世界から選ばれる福岡」となるため、ユニバーサルツーリズムの推進が必要と考えますが、改めて知事の認識をお聞かせください。

質問2

ユニバーサルツーリズムの推進には、行政だけでなく、民間もうまく巻き込んだ取組が必要との認識に立ちまして2点目に伺います。11月1日から、旅行者が福岡空港や博多駅で車いす・ベビーカーをレンタルし、「福岡県どこでも車いす・ベビーカー実証事業」を実施しておられます。実証を経て民間主導で本サービスの自走化を目指すとされていますが、実証事業の現時点の利用状況と、今後の展開をお聞かせください。

質問3

車いすユーザーの知人から、ホテルに宿泊する際に客室に関する詳細な情報を事前に得ることができず、現地に行くまで不安だったとしばしば聞くことがあります。そこで、3点目に、ホテルと直接交渉し、バリアフリールームやユニバーサルルームに関する具体的な情報を発信している個人の方やNPO法人等、独自に情報を集めて発信している方々がおられます。本県において、これまでに、ホテルや旅館におけるバリアフリー化への支援はどのように取り組んできたのか伺います。また、ホームページの内容を充実させるなど、旅行者の視点に立ったバリアフリーの情報の発信を啓発していく必要があると考えますが、県の取組についてお聞かせください。以上、ご答弁、よろしくお願い致します。

知事

答弁1

少子高齢化社会の進行やインバウンドが急増する中、高齢者や子育て中の方、訪日外国人の方々が安心して旅行を楽しんでいただける環境づくりの重要性が高まっている。ユニバーサルツーリズムは、年齢や障がいの有無、言語の違い等に関わらず、誰もが気兼ねなく参加でき、楽しめる旅行であり、人にやさしく、選ばれる観光地づくりを推進する上でも、大変重要であると認識している。

答弁2

県では、今年11月から 1月末までの3か月間、車いすとベビーカーを福岡空港や博多駅で貸し出し、宿泊施設や観光案内所など県内22か所での返却を可能とする実証事業を実施している。11月の利用状況は、車いす52台、ベビーカー68台、合計120台であり、約7割が日本人、約3割が外国人となっている。また、12月以降は、車いすとベビーカーを合わせて、約90台の予約をいただいている。

利用者からは、「膝の痛みで長時間の移動は不安だったが、安心して旅行ができた」、「旅行先でレンタルでき、飛行機の搭乗手続きの負担が減った」、「返却場所が多いのが良い」といったコメントが寄せられており、手ごたえを感じている。一方、「予約なしで利用できると更に便利だと思う」、といったお声もいただいているところである。

県では、この実証事業で得られた貸出需要や輸送コストなどのデータ、また、利用料金の許容範囲や、貸出場所の追加希望などの利用者アンケートの結果を公表し、旅行会社やレンタル業者等に対し、新たな貸出サービスの事業化を働きかけてまいる。

答弁3

県では、令和2年度から、県内の宿泊施設が実施するバリアフリー化などの施設改修を支援するとともに、今年度から、宿泊施設などの観光関連事業者を対象に、ユニバーサルツーリズムの啓発セミナーを開催している。また、ユニバーサルツーリズムの視点に立った現場の改善などに取り組む事業者に対し、専門的な知見を持つアドバイザーを派遣し、助言を行うとともに、受入環境の整備に対する助成を行っている。さらに、宿泊施設が利用者目線で情報発信を行えるよう、優良事例を紹介するとともに、旅行者が安心して予約できるよう、自社ホームページや旅行予約サイトに、客室のドア幅や手すりの位置、段差の有無といった詳細なバリアフリー情報の掲載を促すなど助言を行っているところである。今後も、このような取組を通じ、宿泊施設のバリアフリー化の取組を推進してまいる。